小田島文顕/Fumiaki Odajima

非場所性/un location

 これまでの作品制作は、主に自らを取り巻く環境、場所や空間のもつ特性や条件に反応する身体感覚(場所性による"制限"とも感じることができる、ある種の"違和感")を、インスタレーションやドローイングを手法として視覚化し、自身を境界として接している(外の)世界との調和のための"メディウム"の機能を果たしていました。

 昨年春のコロナ禍による自粛期間以降、これまで行ってきた日常や身のまわりへの洞察から一転、自身の身体そのもの、及び内面性へと視点がシフトし始めました。それは、"どこかでありながら、どこでもない"という感覚を伴い、これまでは全く無自覚的に疑うことなく存在していた"はず"の(外の)世界の輪郭は次第に曖昧となり、代わりに自身の身体のみが、ただ"当たり前さ"としか表現しようの無いものとして茫然と立ちあらわれ対峙することになりました。この状況を"非場所性/un location"とテーマ設定し、表現するとは?、制作するとは?、鑑賞するとは? について改めて問い直すこととなりました。

 現在はほとんど変化のないシークエンス、色や線の描かれていない白紙の部分、音と音の間の無音の箇所に興味を感じます。この展覧会では、そのような隙間や空白も他の線や色や音と同等に扱うための実践を試みます。"間"や"空白"に内在するある種の豊さを感じるきっかけとなれば幸いです。


音への取り組み/対話

 近年は作品制作へ音を素材として積極的に取り入れ、また、複数人による即興によるパフォーマンス/ジャムセッション<蟹蟹蟹 kani kani club>も行っています。個々の出す音の多元性を維持しつつも、あるところから自発的に有機性を帯びた空間/包摂的な普遍性とも感じる"何か"が立ち現れてくることに興味を感じます。その行為全体を"対話"と称し、その"何か"との邂逅を通じて、自己の身体へのアプローチの更新を試みています。


パフォーマンスワークショップ「音の対話/Sound-dialogue」by kani kani club

場所|田中一村記念美術館 企画展示室

日時|SCENE 1  4/25[日]16:30-

奄美大島の新型コロナウイルス感染症警戒レベルが『4⇒5』にあがったため下記イベントを中止することとなりました。

      SCENE 2+3 5/12[水]11:00-(午前の部)/15:00-(午後の部)

   入場無料/予約不要

[パフォーマンスワークショップ【音の対話】]

3名の即興による音のパフォーマンスを行います。展覧会場に響く音と無音に耳を傾けながら、会場の作品を鑑賞して頂きます。会場内を回遊しながら、好みの場所を見つけたら座ったり、目を閉じて空間全体を感じて頂いたり、気持ちの赴くままに、自由にお過ごしください。

Brochure design: Seishirou Izumi


小田島文顕/Fumiaki Odajima

2003年 オハイオ州立大学 芸術学部 ガラス科卒業

2006年 バージニアコモンウェルス大学 大学院 芸術学部 クラフトコース ガラス科卒業


田中一村記念美術館 〒894-0504 鹿児島県奄美市笠利町節田1834 TEL 0997-55-2635
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